Monday, April 18, 2016

祖母の思い出


私の母方の祖母は私が高校生の時に亡くなりました。

若い頃すでに未亡人だった祖母は亡くなるギリギリまで和裁をやっていました。小さい頃 夏休みや冬休みに遊びに出かけて暗い土間を走り抜けると いつも縁側で縫い物をしていた祖母の背中がありました。

小柄で物静かな人 細くて曲がった指 白熱球の小さな明かりの下でひっそりと火鉢のそばに座っていた姿。不思議と何故か背中ばかり思い出してしまう。 浴衣や晴れ着など着物を縫う時はいつも祖母のことを思い出してしまうのです。今から考えれば 縫い物の基礎 しかも着物! を教えてもらっていればもう少しマシに縫えていることでしょう。

そろそろ浴衣の準備も考えているところです。祖母が見てくれたら厳しい指導になるだろうなといつも考えながら縫っています。まず、着物をミシンで縫うなんて叱られますね、間違いなく(笑。かくいう私も小さいながらもショップを立ち上げ縫うことを仕事にしてしまったのですから、私もやっぱりモノ作りからは一生離れられないのかもしれません、祖母のように。 どんなことでも頑張れば進歩する それだけは実感できます。

以前娘に「お母さんって年だからやらないとか言わないよね」と言われたことがあります。「好きじゃないから、興味ないから やらないんだよね」とズバッと切り込まれて大笑い、確かに。

好きなことなら頑張れる 人が苦痛だと思うことも楽しいと思えます。子供の頃から「作る」ことが好きだった。好きなことも仕事にしてしまうとつらいことだってもちろんありますが、好きという気持ちががいつも強い味方になって側にいてくれます。


亡くなる時まで祖母の指にはめられていた金の指ぬき。

縫い物から一生離れなかったその人の手。

器用なその手は季節のお花も美しく咲かせていました。住んでいた小さな古い家は取り壊され今は跡形もありません。

記憶は遠く薄れていき形見の品もなくわずかばかりの思い出だけが祖母との唯一のつながりです。